ラファエル前派
ラファエル前派とは、19世紀半ばのイギリスの青年たちによる、初期ルネサンス、つまりラファエロより前の芸術に回帰する一派のことです。
主に聖書の物語や文学作品を主題として、自然に忠実に、緻密に写実的に描きました。
同じ頃フランスでは写実主義が興っていましたが、ラファエロ前派も写実主義と同じように、硬直化したアカデミーと対立し、アカデミーが理想としたルネサンスの巨匠ラファエロではなく、ラファエロより前を理想としました。
自らをPre-Raphaelite Brotherhood、兄弟団と称して意欲的に活動した若者たちの運動でしたが、活動期間は数年と短いものでした。短いながらも彼らの影響は大きく、後の象徴主義へとつながっていきます。
ジョン・エヴァレット・ミレイ
ジョン・エヴァレット・ミレイ 1829年〜1896年 イギリス ラファエロ前派
ラファエロ前派を立ち上げた3人のうちのひとり。
早くから才能を発揮し神童としてロイヤル・アカデミーに入学するが、同じくアカデミーの学生であったハント、ロセッティとともにラファエロ前派を立ち上げ、ヴィクトリア女王に寵愛されるまで活躍する。
ミレイの代表作『オフィーリア』のような緻密な絵画は非常に時間がかかり、8人の子どもを養う必要があったミレイは、大衆に人気があり時間がかからない絵画を描く人気画家となりました。
日本ではミレーと書けば農民画家のジャン=フランソワ・ミレー、ミレイと書けばジョン・エヴァレット・ミレイということが多いようです。

シェイクスピアの『ハムレット』劇中でヒロインであるオフィーリアが入水自殺するシーンを描く。
オフィーリアのモデルはラファエロ前派の仲間であるロセッティの妻となる女性で、長時間バスタブに横たわっていたため風邪をひいたという。
ひとつひとつの葉っぱや花びらが細密に描かれたラファエロ前派の代表作。
ロセッティ
ダンテ・フェイブリエル・ロセッティ 1828年〜1882年 イギリス ラファエロ前派
ラファエロ前派を立ち上げ、ラファエル前派の旗手となった画家。
写実的で精細な描写が苦手であったが、聖書の物語から虚構を廃止て現実的に描いた絵画は物議を醸した。
