西洋絵画の基礎知識13 西洋近代絵画「印象派」
西洋近代絵画の印象派の基礎知識がわかりやすい。大人として知っておきたい教養、名画・西洋絵画の基礎知識。
- 印象派入門
- マネ、モネ、ルノワール、ドガ、ピサロの作品で印象派がわかる
西洋近代絵画「印象派」 概要
日本でも絶大な人気を誇る美術様式である「印象派」。
印象派の活動時期は意外と短く、1874年〜1900年頃まで、主にフランスで活動しました。
印象派絵画の特徴は、写実主義の発展でありながら、日本の浮世絵の影響などをうけ平面的な構図、普及し始めた写真の影響をうけ写実的に描く必要がなくなり、従来までの遠近法や明暗法にとらわれない革新的な画風、自然の光の変化や形のゆらぎを瞬間的に捉えて、見たものをありのままに作者の印象で表現し、日常生活や風景、肖像を描きました。
印象派の特徴的な技法として、絵具を混ぜずにカンヴァスにタッチ(筆触)で置いていく筆触分割があります。筆触分割が進化したものとして点描があり、どちらも少し離れて見ることで鑑賞者の目や脳内で色が混じり合う視覚混合を利用し、鮮やかな色彩効果を生みました。
屋外で気軽に描けるチューブ入りの絵具の発明も大きな要因となり、屋外で写生から仕上げまでおこないました。
1874年、フランスのパリでのちに「第1回印象派展」と呼ばれる独自の展覧会を開いたことから、印象派がスタートします。「第1回印象派展」は当時の権威ある画壇からは酷評され、特にモネの『印象・日の出』という作品が未完成であり「描きかけの壁紙よりひどい」と酷評、侮蔑の意味を込めて「印象派」と呼ばれました。印象派の画家たちはこの蔑称を気に入り、次の展覧会から自ら「印象派」と名乗るようになりました。
1800年頃〜 | ロマン主義 ↓ | 新古典主義 ↓ |
---|---|---|
写実主義 ラファエル前派 ↓ | 象徴主義 ↓ | |
印象主義 ↓ | ↓ | |
新印象主義 ↓ | ↓ | |
ポスト印象主義 ↓ | ||
1900年頃〜 | キュビスム ↓ | フォーヴィスム ↓ |
抽象主義 ↓ | 表現主義 ↓ | |
ダダイスム ↓ | シュルレアリスム ↓ | |
コンセプチュアル・アート | 抽象表現主義 |
エドゥアール・マネ
エドゥアール・マネ 1832年〜1883年 フランス 写実主義・印象派
印象派の父と呼ばれる印象派の画家たちの中心となった人物でありながら、自らは印象派に属さなかった画家。
裕福なブルジョワ出身のマネは、権威あるサロンで評価されることにこだわりサロンに出品を続けるが、現代都市のおしゃれライフを題材とし続けたため評価はされなかった。
だがそんなマネの主題や色彩表現は若き画家たちに受け入れられ、マネのアトリエ近くのカフェにはマネを慕う印象派の画家たち、モネ、ピサロ、ルノワール、シスレー、ドガ、セザンヌらが集まり、印象派の父と呼ばれる存在となった。
しかし、サロンにこだわったマネ自身は、一度も印象派展に出品しなかった。
クロード・モネ
クロード・モネ 1840年〜1926年 フランス 印象派
常にうつろい変化する「光」を色彩で表現した印象派の創始者にして印象派の代表的な画家。
特に『睡蓮』で有名な印象派の巨匠。
ルノワール
ピエール=オーギュスト・ルノワール 1841年〜1919年 フランス 印象派
印象派を代表するもうひとりの巨匠。
モネが光の画家として光にこだわり続けた一方、ルノワールは人物、特に女性を描くことが好きで、触りたくなる胸やお尻を描くことを追求したそうで、エロい画家としても有名。
印象派の画家たちはブルジョワ階級の裕福な出自を持つが、ルノワールだけが貧しい当同社階級出身であったためか、見ていて楽しく幸せになる絵を描き続けました。
ルノワールは間違いなく印象派の巨匠であるが、印象派の絵を描くうちにスランプに陥り、新古典主義の巨匠アングルにならった少し冷たい感じの作風へと変わる。
後には印象派に近い作風に戻り、「私の好きな絵画は、風景ならばその中を散歩したくなるような絵、裸婦ならばその胸や腰を愛撫したくなるような絵だ。」と本人が言うように、見る人が幸せになれるような絵を追求しました。
エドガー・ドガ
エドガー・ドガ 1834年〜1917年 フランス 印象派
「踊り子」で有名な印象派の画家。
もともとは新古典主義の巨匠アングルの影響が強かったが、マネとの出会いにより印象派へ。
踊り子が練習をする場面や、庶民の日常の場面の一瞬を切り取る作品がドガの特長。
印象派ではあってもデッサンがすべてであったアングルの影響も強く、デッサンや「線」の重要さも捨てなかった。
風景画は描かず、主に室内の光景ばかりを描いた。
気難しく皮肉屋で友人も少なく、生涯独身で孤独のうちに亡くなりました。
カミーユ・ピサロ
カミーユ・ピサロ 1830年〜1903年 フランス 印象派
印象派のまとめ役となった印象派・新印象派の画家。
20代はカミーユ・コローの風景画にならった作品をつくり、パリでモネらに出会った後は印象派に加わり印象派のまとめ役となり、点描のスーラで出会った後は新印象派として活動をした、次々に作風を変えていく画家でした。