世界の名画ランキング:西洋絵画100選+20選・81位から90位まで10選
大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。この記事では81位から90位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。
大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。
この記事では81位から90位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。
81位 マンティーニャ「死せるキリスト」
絵画の空間表現に革命をおこしたキリスト教絵画
絵画の題名 | 死せるキリスト |
---|---|
絵画の作者 | アンドレア・マンテーニャ(イタリア) |
美術様式 | パドヴァ派(初期ルネサンス) |
絵画の制作年 | 1497年頃 |
絵画の画材 | テンペラ、カンヴァス |
絵画の寸法 | 68cm × 81cm |
絵画の所蔵 | ブレラ絵画館(イタリア、ミラノ) |
初期ルネサンスのパドヴァ派の筆頭アンドレア・マンテーニャが描いたキリストの亡骸。
嘆き悲しむ女性は聖母マリアとマグダラのマリア。
キリストの足と手には磔刑にされた時の釘の穴が生々しく描かれている。
足元から見たアングルという珍しい構図で、小さな画面にキリストの全身と表情を描き込む空間表現により、西洋絵画の空間表現にも変換が訪れた。
82位 ロートレック「ムーラン・ルージュに入るラ・グリュ」
ロートレック自身が認める最高傑作
絵画の題名 | ムーラン・ルージュに入るラ・グリュ |
---|---|
絵画の作者 | アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(フランス) |
美術様式 | ポスト印象主義 |
絵画の制作年 | 1892年 |
絵画の画材 | 油彩、板 |
絵画の寸法 | 79.4cm × 59cm |
絵画の所蔵 | ニューヨーク近代美術館館(アメリカ、ニューヨーク) |
フランスはパリのモンマルトルにあるキャバレー「ムーラン・ルージュ」。
ロートレックはここに通い詰め踊り子の絵をはじめ数多くの作品を描いた。
本作は「ラ・グリュ(大食い)」と呼ばれたムーラン・ルージュのスターダンサーであるルイーズ・ウェーバーが、ムーラン・ルージュに入る場面を描いた。
ルイーズはダンス中に客のテーブルにあるものを飲み食いするためこのあだ名がついた。
ルイーズの右にいるのは妹、左にいるのは恋人。
ロートレックはダンサーを多く描いたが、中でもラ・グリュはお気に入りであった。
ロートレックはこの肖像画とポスター(100位に掲載)で不動の名声を手に入れた。
83位 ブロンズィーノ「愛の勝利の寓意」
アーニョロ・ブロンズィーノの『愛の勝利の寓意』はポルノ認定されるため、画像のみを開いて鑑賞してください。
『愛の勝利の寓意』の絵画画像を開く→『愛の勝利の寓意』
マニエリスムの誇張した人体表現により愛の表現
絵画の題名 | 愛の勝利の寓意、愛のアレゴリー、愛の寓意 |
---|---|
絵画の作者 | アーニョロ・ブロンズィーノ(イタリア) |
美術様式 | マニエリスム |
絵画の制作年 | 1540年〜1545年 |
絵画の画材 | 油彩、板 |
絵画の寸法 | 146.1cm × 116.2cm |
絵画の所蔵 | ロンドン・ナショナルギャラリー(イギリス、ロンドン) |
マニエリスムの第一人者であるブロンズィーノの傑作。
メディチ家からフランス国王に贈られた絵画。
ヴィーナスが息子であるキューピッドを抱くが、親子というよりも恋人のように見える。
右上の翁は「時」、その下の少年は「快楽」、その横の少女は「欺瞞」、右下の仮面は「愛欲」。
左上の横顔は「真理」、左真ん中の老婆が「嫉妬」、左下の鳩も「愛」。
愛欲に耽ることを警告する寓意画だとも考えられている。
84位 ラファエロ「牧場の聖母」
「聖母子の画家」が描くヨーロッパ絵画の手本
絵画の題名 | 牧場の聖母 |
---|---|
絵画の作者 | ラファエロ・サンティ(ス) |
美術様式 | 盛期ルネサンス |
絵画の制作年 | 1506年 |
絵画の画材 | 油彩、板 |
絵画の寸法 | 113cm × 88cm |
絵画の所蔵 | ウィーン美術史美術館(オーストリア、ウィーン) |
ラファエロは「聖母子の画家」とも呼ばれ、本作はヨーロッパ絵画の手本ともいわれた。
本作は別名『プラトの聖母(草原の聖母)』または『ベルヴェデーレの聖母』ともいわれている。
定番の主題である聖母マリアと幼子イエスを描いた「聖母子」と、子ども時代の洗礼者ヨハネ(バプテスマのヨハネ)を描いた。
この「聖母子+洗礼者ヨハネ」の主題は、聖書の中に記述はない。最初にこの主題が登場したのはイタリアのルネサンス期である。ヨハネはイエスの「先駆者」でもあり、イエスよりも少し年長に描かれ、「葦の十字架」を手にするという定番の構図。
本作ではキリストがヨハネの十字架をとり、ヨハネはキリストにひざまずき、キリストを救世主であると認めた場面を描く。
3人の人物で安定した三角形の構図を描いている。
85位 ゴッホ「アルルの跳ね橋」
ゴッホが心癒やされた田園の運河にかかる橋
絵画の題名 | アルルの跳ね橋、ラングロワ橋 |
---|---|
絵画の作者 | フィンセント・ファン・ゴッホ(オランダ) |
美術様式 | ポスト印象主義 |
絵画の制作年 | 1888年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 54cm × 65cm |
絵画の所蔵 | クレラー・ミュラー美術館(オランダ、ヘルダーラント) |
本作はアルルの運河にかかるラングロワ橋で、南フランスのアルルに引っ越したゴッホはこの橋を何度も描いた。
構図は日本の浮世絵の影響を受け単純化し、色は青と黄色の反対色をよく用いた。
35歳だったゴッホは『ひまわり』を描くなど画家としての最盛期で、故郷のオランダに似ていたアルルの田園地帯を好んで描いた。
86位 シニャック「フェリックス・フェネオンの肖像」
新印象主義と点描の発展だけではなく社会的にも重要な作品
絵画の題名 | フェリックス・フェネオンの肖像、(七色に彩られた尺度と角度、色調と色相のリズミカルな背景のフェリックス・フェネオンの肖像) |
---|---|
絵画の作者 | ポール・シニャック(フランス) |
美術様式 | 新印象派 |
絵画の制作年 | 1890年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 73.5cm × 92.5cm |
絵画の所蔵 | ニューヨーク近代美術館(アメリカ、ニューヨーク) |
19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した美術評論家・編集者のフェリックス・フェネオンを描いたポール・シニャックの作品。
スーラが始めシニャックが後を継いだ「点描」は絵画様式では「新印象派」と呼ばれるが、「新印象派」と名付けたのがこのフェリックス・フェネオン。
本作は背景が7色の螺旋渦巻きに描かれ、色調・色彩・角度・尺度・構図などが実験的に描かれている。
87位 コロー「モルトフォンテーヌの思い出」
幻想的な銀灰色のコロー風景画
絵画の題名 | モルトフォンテーヌの思い出 |
---|---|
絵画の作者 | カミーユ・コロー(フランス) |
美術様式 | バルビゾン派(写実主義) |
絵画の制作年 | 1864年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 65cm × 89cm |
絵画の所蔵 | ルーブル美術館(フランス、パリ) |
「真珠の女」で有名なカミーユ・コローは、本来はバルビゾン派の風景画家。
本作は風景画家のカミーユ・コロー代表作で、パリ郊外のモルトフォンテーヌを描いた。
コロー風景画の特徴は銀灰色の色調の中の輝く光で、本作はその代表作で詩的で静かな風景画となっている。
ナポレオン3世のお買い上げとなった。
88位 作者不詳「ガブリエル・デストレとその妹」
フォンテーヌブロー派の『ガブリエル・デストレとその妹』はポルノ認定されるため、画像のみを開いて鑑賞してください。
『ガブリエル・デストレとその妹』の絵画画像を開く→『ガブリエル・デストレとその妹』
官能的でミステリアスな入浴図
絵画の題名 | ガブリエル・デストレとその妹、(ガブリエル・デストレとその姉妹ビヤール公爵夫人とみなされる肖像) |
---|---|
絵画の作者 | 作者不詳(フォンテーヌブロー派の画家) |
美術様式 | マニエリスム(フォンテーヌブロー派) |
絵画の制作年 | 1594年頃 |
絵画の画材 | 油彩、板 |
絵画の寸法 | 96cm × 125cm |
絵画の所蔵 | ルーヴル美術館(フランス、パリ) |
右側の金髪の女性がフランス国王アンリ4世の愛妾ガブリエル・デストレで、指輪をつまんでいる。
左側の女性がガブリエルの妹ヴィヤール夫人で、ガブリエルの乳首をつまんでいる。
入浴をしている2人の謎めいたしぐさ。
一説によると、乳首をつまんでいるのはガブリエルはアンリ4世の子を妊娠していることをあらわし、指輪は愛妾ではなく正式な婚姻を希望していることをあらわしている。
奥にいる侍女は生まれてくる赤子の産着を縫っているとみられている。
89位 マネ「オランピア」
エドゥアール・マネの『オランピア』はポルノ認定されるため、画像のみを開いて鑑賞してください。
『オランピア』の絵画画像を開く→『オランピア』
下品だと酷評され大スキャンダルを巻き起こした
絵画の題名 | オランピア |
---|---|
絵画の作者 | エドゥアール・マネ(フランス) |
美術様式 | 写実主義 |
絵画の制作年 | 1863年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 130.5cm × 190cm |
絵画の所蔵 | オルセー美術館(フランス、パリ) |
ラファエロやミケランジェロの女神の陰影ある裸体画が理想とされた時代にあって、日本の浮世絵かの影響をうけ平面的に描かれた裸体は下品だと酷評された。
また女神など神話の世界ではなく現実の女性の裸体画を描くことがタブーであった時代に発表された本作は一大スキャンダルを巻き起こした。
しかも、黒人の召使いがいること、首にチョーカーを巻いていること、サンダルを履いていること、そして「オランピア」という題名は、この女性が娼婦であることをあらわしていて、当時かなり挑発的な絵画であった。
構図はティツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』を借りていて、モデルとなった女性は『草上の昼食』と同じ人物であった。
90位 アングル「トルコ風呂」
アングルの『トルコ風呂』はポルノ認定されるため、画像のみを開いて鑑賞してください。
『トルコ風呂』の絵画画像を開く→『トルコ風呂』
老境にいたっても衰えぬ巨匠が描く裸婦群像
絵画の題名 | トルコ風呂 |
---|---|
絵画の作者 | ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル(フランス) |
美術様式 | 新古典主義 |
絵画の制作年 | 1862年 |
絵画の画材 | 油彩、板に貼ったカンヴァス |
絵画の寸法 | 108cm × 108cm |
絵画の所蔵 | ルーヴル美術館(フランス、パリ) |
新古典主義の巨匠アングルは、若いときから80を超える晩年にいたるまで多くの裸体画を描き続けた。
本作はそんなアングル裸体画の集大成とも呼べる作品で82歳時の作品。
「トルコ風呂」とはトルコ語のハマム(hamam)のことで、中東の公衆浴場を意味する。
本作でアングルはハマムで楽しむ多くの裸の女性を描いたが、実際のモデルは使わず、長い画家人生の中で描いてきた裸体画の集大成でできている。
アングル『グラン・オダリスク』はポルノ認定されるため、画像のみを開いて鑑賞してください。
『グラン・オダリスク』の絵画画像を開く→『グラン・オダリスク』
1814年、ルーヴル美術館
オダリスクとは宮廷の女官のこと。
アングルのこの作品は後生のピカソやマティスらに大きな影響を与えた。
アングルの『泉』はポルノ認定されるため、画像のみを開いて鑑賞してください。
『泉』の絵画画像を開く→『泉』
1825年〜1856年、オルセー美術館
アングルが44歳のときに描き始め、76歳で完成させた裸婦像の最高傑作。