世界の名画ランキング:西洋絵画100選+20選・21位から30位まで10選

世界の名画ランキング:西洋絵画100選+20選・21位から30位まで10選

大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。この記事では21位から30位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。

大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。
この記事では21位から30位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。

21位 セザンヌ「林檎とオレンジ」

ポール・セザンヌ『林檎とオレンジ

絵画の歴史を変えたリンゴとオレンジの静物画

絵画の題名林檎とオレンジ
絵画の作者ポール・セザンヌ(フランス)
美術様式ポスト印象主義
絵画の制作年1895〜1900年頃
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法73cm × 92cm 
絵画の所蔵オルセー美術館(フランス、パリ)

一見ただの静物画でありながら、絵画の歴史を変えた作品のひとつ。
無造作に置かれ描かれたようにみえる林檎やオレンジは、ひとつの視点から描かれたものではなく、上から見たり横から見たりしたものを、再構成する「構築主義」にって描かれた。
それぞれの対象物をもっともよく見える角度から描き、それを1枚の絵の中に収めるセザンヌ独自の技法が用いられている。
これは後にピカソらに大きな影響を与え、キュビズム、そして現代絵画へと繋がっていく。

「近代絵画の父」と呼ばれたセザンヌは、ピカソ、クロード・モネ、カミーユ・ピサロなどから「我々みんなの父親」や「先生」とも呼ばれた。
セザンヌ自ら、自分は早く生まれすぎた次の世代の人間かもしれないと語っている。
同世代・次世代の画家に大きな影響を与え絵画の歴史を変え、今なお存在感を失わない画家である。

22位 ゴッホ「星月夜」

ゴッホ『星月夜

心を病んだゴッホが精神病院の窓からみえる夜明け前の星空を描く

絵画の題名星月夜
絵画の作者フィンセント・ファン・ゴッホ(オランダ)
美術様式ポスト印象主義
絵画の制作年1889年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法73.7 cm × 92.1 cm 
絵画の所蔵ニューヨーク近代美術館(アメリカ、ニューヨーク)

ゴッホの代表作のひとつで、精神病院療養中に描かれた。
「夜のカフェテラス」「糸杉と星の見える道」など、ゴッホは夜と星を多く描いた。
「死によって星へと到達する」「星降るような空を創造したい」と自ら語っているように、ゴッホにとって「星」は重要な意味をもっていた。
ゴッホは糸杉も多く描いたが、地上と天を繋ぐ糸杉は、天国や死を連想させる。
療養中の精神病院の窓から見える風景そのままではなく、描かれている教会はゴッホの故郷オランダの教会であるように、ゴッホの心の中の風景となっている。

23位 レンブラント「夜警」

レンブラント・ファン・レイン 『夜警

「光と影の画家」が描く集団肖像画の傑作

絵画の題名夜警
絵画の作者レンブラント・ファン・レイン (イタリア)
美術様式バロック
絵画の制作年1642年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法363 cm × 437 cm 
絵画の所蔵アムステルダム国立美術館(オランダ、アムステルダム)

「光と影の画家」と称されるレンブラントの代表作。
タイトルの「夜警」は後年誤解により付けられた名前で、実際には夜ではなく昼間の光景を描いている。
火縄銃組合による自警団の様子を描いた集団肖像画で、組合の本部を飾るために発注された。
集団肖像画を直立不動ではなく動きを取り入れて描くという当時としては初めての試みで描かれた。
画中の「光」を効果的に使用するバロック絵画の中でも、光の魔術師と言われるレンブラントの明暗法が活きた作品。

24位 クリムト「接吻」

グスタフ・クリムト 『接吻

金色で独特の雰囲気を持つ愛と死の象徴絵画

絵画の題名接吻
絵画の作者グスタフ・クリムト (オーストリア)
美術様式分離派
絵画の制作年1907年〜1908年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法180cm × 180cm 
絵画の所蔵オーストリア・ギャラリー(オーストリア、ウィーン)

クリムトは、金色で絢爛豪華の女性画で有名なウィーンの画家。
日本文化に傾倒したクリムトは、浮世絵や琳派の影響を受け、金箔を用い平面的ながらも官能的でエロティックな作品を多く描いた。
本作『接吻』は崖っぷちの花園で抱き合う男女。
男性の衣服にある長方形は男性器、女性の衣服の丸は女性器を暗示していて、さらに崖っぷちは不安定さをあらわしている。

分離派とは

19世紀末から20世紀初頭にかけ、クリムトを中心に主にウィーンで活動した画家集団。
既存の芸術からの分離を目指した。

25位 モネ「日傘の女」

クロード・モネ『日傘の女

光の画家が描く、亡き妻への想いが詰まった切ない一枚

絵画の題名日傘の女
絵画の作者クロード・モネ
美術様式印象派
絵画の制作年1886年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法131cm × 88.7cm 
絵画の所蔵オルセー美術館(フランス、パリ)

常にうつろい変化する「光」を色彩で表現した印象派の創始者にして印象派の代表的な画家クロード・モネ。
クロード・モネは妻カミーユを描いた作品を多く残している。
本作はその代表的な1枚であるが、カミーユが32歳で夭逝した後に別の女性(2番目の妻の娘シュザンヌ)をモデルとして描かれたため、顔はぼかされている。

モネ『散歩、日傘をさす女性』1875年
モネの妻カミーユと長男のジャンを描いた。
前を歩く2人をモネが呼び止め振り返った瞬間を描いた。
モネ『日傘の女』1886年
同じく妻カミーユの死後に描かれたカミーユの肖像。
モデルも同じくシュザンヌ。

モネ『ラ・ジャポネーズ』1876年 ボストン美術館
愛妻カミーユが日本の着物を着ている姿で金髪はカツラ。
カミーユの顔と印象派の「ジャポニズム」がよくわかる一枚
モネ『死の床のカミーユ』1879年 オルセー美術館

26位 ゴヤ「裸のマハ、着衣のマハ」

フランシスコ・デ・ゴヤ『着衣のマハ

『裸のマハ』はポルノ認定されるため、画像のみを開いて鑑賞してください。
裸のマハの絵画画像を開く→『裸のマハ

着衣と裸をペアで描き官能的すぎて100年封印された超問題作

絵画の題名裸のマハ
絵画の作者フランシスコ・デ・ゴヤ(スペイン)
美術様式ロマン主義
絵画の制作年1798年〜1803年頃
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法97cm × 190cm 
絵画の所蔵プラド美術館(スペイン、マドリッド)

当時、超問題作とされた作品。
西洋美術では、女性の裸体を描くときには「神話」を借りる必要があった。
実在の女性の裸体を描くことは大変よろしくないが、神話であればOKというルールがあった。
ゴヤはそのルールを破り、異端審問にかけられるほどの大問題となった。

本作はまったく同じ構図で着衣の『着衣のマハ』と裸体の『裸のマハ』とペアの作品で、2枚1組で衣服を脱がすことが連想され、女性の陰毛を初めて描いた作品ともいわれ問題となった。

その後100年の間、プラド美術館の地下にしまわれていた作品である。
ちなみに「マハ」は人名ではなく、スペイン語で「小粋な娘」をあらわす。

27位 スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」

ジョルジュ・スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後

印象派の色彩表現を突き詰めた点描画の大作

絵画の題名グランド・ジャット島の日曜日の午後
絵画の作者ジョルジュ・スーラ(フランス)
美術様式新印象派
絵画の制作年1886年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法205.7 cm × 305.8 cm 
絵画の所蔵シカゴ美術館(アメリカ、シカゴ)

セーヌ川の中州で憩う人々を描いた作品。
スーラが「点描法」を完成させた作品としても有名。
すべて点で描かれた点描の代表作であり、新印象派の代表作でもある。
「点描法」とは、絵の具を混ぜて塗るのではなく、「緑・青・紫・赤」または「赤・オレンジ・黄・緑」などの色を点としてカンバスに塗り、離れてみたときに人間の目で混色される現象「視覚混合」をもちいた手法。
現在のディスプレイ等と同じ原理で多彩な色が表現されている。
スーラは、論理的・科学的に点描法を確立した。
本作はとても巨大な作品で、近くでみると視覚混合が起きないため、ある程度離れて鑑賞することが前提とされている。

28位 ボス「快楽の園」

ヒエロニムス・ボス『快楽の園

500年前の奇想の画家が描いた摩訶不思議な世界

絵画の題名快楽の園
絵画の作者ヒエロニムス・ボス(オランダ)
美術様式初期フランドル(北方ルネサンス)
絵画の制作年1503年〜1504年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法220 cm × 389 cm 
絵画の所蔵プラド美術館(スペイン、マドリッド)

シュルレアリスムや現代芸術を思わせる作風で、知らずに本作を見れば500年前のルネサンス期に描かれた作品であるとは思えない。
後生にも大きな影響を与えた彼と彼の作品は、現在でも大きな謎に満ちている。
本作『快楽の園』は当時フランドル地方で多かった3連パネルの祭壇画で、パネル3枚で1組の絵画。
中央は現在、左がエデンの園、右が地獄。

左翼ではエデンの園で生まれたばかりのエヴァをキリストがアダムに引き合わせている。
中央では多くの人物と実在または幻想の動植物が描かれ、性的な暗示が満ちている。
右翼では飢餓と疫病が蔓延し、堕落した人間が堕ちる地獄が描かれる。
「終末説」が流行した当時の社会不安を背景に、ボスが人類の罪を描いたとも見られている。

29位 フェルメール「牛乳を注ぐ女」

アンリ・マティス『牛乳を注ぐ女

光の魔術師が卓越した技術で描く日常の風景

絵画の題名牛乳を注ぐ女
絵画の作者ヨハネス・フェルメール
美術様式オランダ・バロック
絵画の制作年1660年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法45.5cm × 41cm 
絵画の所蔵アムステルダム国立美術館(オランダ、アムステルダム)

パンプティングを作る日常の風景を描いた作品。
静かで静謐な空間表現と立体的な人物表現、そしてそれらを包む光の表現。
フェルメールの卓越した技術を余すところなく注ぎ込んだフェルメール絵画の逸品。
パンや籠の白い点は絵具を点で置くことで光を表現するポワンティエ技法(点綴法・てんていほう)。
よく見ると青い布がかけられたテーブルの形がおかしいが、当時オランダに五角形のテーブルがあったことがわかっている。

30位 マネ「笛を吹く少年」

エドゥアール・マネ『笛を吹く少年

印象派の父が描く表情と肖像の演出が見所

絵画の題名笛を吹く少年
絵画の作者エドゥアール・マネ
美術様式印象派
絵画の制作年1866年ごろ
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法161 cm × 97 cm 
絵画の所蔵オルセー美術館(フランス、パリ)

西洋近代絵画の夜明けを告げる画家マネの代表作。
印象派の父と呼ばれる画家で印象派の中心人物ともされるが、マネ自信は印象派展に一度も参加していない。
ほかの代表作として『草上の昼食』と『オランピア』などがある。
印象派は日本の影響を受けたジャポニスムも特徴のひとつであるが、本作も輪郭線が強く平面的で浮世絵の影響がみられる。
背景に何も描かず暗い背景との対比で対象を際立たせる手法はバロックの画家ベラスケスの手法を取り入れた。

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