世界の名画ランキング:西洋絵画100選+20選・61位から70位まで10選

世界の名画ランキング:西洋絵画100選+20選・61位から70位まで10選

大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。この記事では61位から70位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。

大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。
この記事では61位から70位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。

61位 マネ「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」

エドゥアール・マネ『すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ

印象派の指導者が描く印象派の女流画家

絵画の題名すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ
絵画の作者エドゥアール・マネ(フランス)
美術様式印象派
絵画の制作年1872年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法55.5cm × 40.5cm 
絵画の所蔵オルセー美術館(フランス、パリ)

時代的に珍しく女性でありながら画家として活躍したベルト・モリゾの肖像画。
描いたのは印象派の指導者として活躍したエドゥアール・マネで、この絵が描かれた約2年後ベルト・モリゾはマネの弟と結婚し、その約4年後に生まれた娘も画家(ジュリー・マネ)となった。
印象派としては珍しく黒い絵具を多く用いたマネは本作でも黒を多く使っている。
ベルト・モリゾはロココのフラゴナールの家系であるとも言われていて、姉とともに画家を目指し『真珠の女』で有名なカミーユ・コローに弟子入りした。
後に姉は画家を辞めるが、ベルト・モリゾはマネに弟子入りする。
マネの弟子として画家活動を続ける中で、マネはベルト・モリゾの肖像画を多く描いた。本作もそのなかの一枚。
現在ではベルト・モリゾ本人の作品よりもマネが描いたこの肖像画のほうが有名。
下記はベルト・モリゾの作品。

ベルト・モリゾ『ブージヴァルの庭のウジェーヌ・マネと娘』1881年、マルモッタン美術館
マネの弟でベルト・モリゾの夫のウジェーヌ・マネと、娘のジュリー・マネを描いた。

ベルト・モリゾ『ロリアンの小さな港』1869年、ワシントン・ナショナルギャラリー

62位 ゴッホ「アルルの部屋」

フィンセント・ファン・ゴッホ『アルルの部屋

夢の暮らしが待つはずだった黄色い家にあるゴッホの部屋

絵画の題名アルルの部屋(ゴッホの寝室)
絵画の作者フィンセント・ファン・ゴッホ(オランダ)
美術様式ポスト印象主義
絵画の制作年1889年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法55.5cm × 74cm 
絵画の所蔵オルセー美術館(フランス、パリ)

ゴッホが南フランスのアルルで芸術家たちの共同生活をするために借りた家「黄色い家」の2階、ゴッホの部屋を描いた作品。
この「黄色い家」を飾るために描かれた「ひまわり」と同じようにゴッホの代表作のひとつ。
ゴッホは同じ構図の作品を3点描いており、本作は1889年に母アンナのために描いた少し小さい作品。
なお、「黄色い家」は1944年に戦災で失われている。

ゴッホ『アルルの部屋』1888年
「黄色い家」でゴーギャンと共同生活を始める直前に描かれた1作目。
ゴッホ『アルルの部屋』1889年
1作目を複製した2作目。
ゴッホ『黄色い家』1888年、ゴッホ美術館

ゴッホ『母の肖像』1888年、ノートン・サイモン美術館

63位 ルドン「キュクロプス」

オディオン・ルドン『キュクロプス

ひとつ目巨人の恋のものがたり

絵画の題名キュクロプス
絵画の作者オディロン・ルドン(フランス)
美術様式象徴主義、印象主義
絵画の制作年1914年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法64cm × 51cm 
絵画の所蔵クレラー・ミュラー美術館(オランダ、ヘルダーラント)

ペガサスやケンタウロスなど神話の世界を幻想的に描いたルドンの代表作。
題名のの「キュクロプス(Cyclope)」とはギリシャ神話に出てくるひとつ目巨人のことで、日本では「サイクロプス」と英語読みしたほうが馴染みがある。
本作はキュクロプス族のポリュペーモスが、海のニンフ(精霊)ガラテイアに一目惚れした姿を描く。
本来暴れ者で恐ろしいはずのポリュペーモスが本作では恥ずかしがり岩山に身を隠しながら、優しい瞳でガラテイアを見つめている。

ルドン絵画の手法は、点描的な描画や色使いなど印象主義の手法を用いているが、主題・テーマや作風は同時代の象徴主義に近い。
このためルドンは、印象主義とも象徴主義ともいわれ、またどの主義にも属さない独自の絵画様式であるともされる。

64位 ラファエロ「小椅子の聖母」

ラファエロ・サンツィオ『小椅子の聖母

最も愛された聖母子。ルネサンス絵画の最高傑作

絵画の題名小椅子の聖母
絵画の作者ラファエロ・サンツィオ(イタリア)
美術様式盛期ルネサンス
絵画の制作年1514年
絵画の画材油彩、板
絵画の寸法71cm × 71cm 
絵画の所蔵パラティーナ美術館 ピッティ宮(イタリア、フィレンツェ)

ルネサンスの巨匠にして「聖母子の画家」と呼ばれるラファエロ・サンツィオが描いた最も愛されてきた聖母子像。
聖母マリア、幼子イエス、洗礼者ヨハネを描く定番の構図を、円形絵画である「トンド」に美しい構図で描き込んだ。
柔和で優しいマリアのまなざしと丸く柔らかなイエスに洗礼者ヨハネ。
伝統通りマリアの衣は赤く、膝にかけたマントは青く、イエスの黄色い衣とあいまって、中心の暖色と周囲の寒色の対比が美しい(暖色・寒色の区別はラファエロの数百年後の理論)。
マリアが椅子に座る構図とすることで円形にふさわし曲線となり、形も色も計算されつくされている。
ラファエロの技量が余すところなく発揮され、穏やかで慈愛に満ちた作品となった。

65位 ゴーガン「タヒチの女たち」

ゴーガン『タヒチの女たち

都会に疲れ田舎暮らしを目指した画家が描いた楽園

絵画の題名タヒチの女たち
絵画の作者ポール・ゴーガン(フランス)
美術様式ポスト印象主義
絵画の制作年1891年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法69cm × 91.5cm 
絵画の所蔵オルセー美術館(フランス、パリ)

パリで生まれ都会の生活に疲れたゴーガンが目指した素朴な楽園タヒチ。
ゴーガンは2度タヒチにおもむき、2度目はそのまま帰ることがなかったが、本作は1度目のタヒチ訪問で描かれた作品。
穏やかな波と砂浜、のんびりと座る女性、都会に疲れたゴーガンがタヒチでみたのどかで穏やかな時間、そのものが描かれたような作品。

66位 デューラー「自画像」

アルブレヒト・デューラー『自画像

「神の画家」が描く史上初の単独自画像。自らをキリストに擬して描いた。

絵画の題名自画像(28歳の自画像)
絵画の作者アルブレヒト・デューラー(ス)
美術様式ドイツ・ルネサンス(北方ルネサンス)
絵画の制作年9年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法cm × cm 
絵画の所蔵館(ン)

ドイツにルネサンスをもたらした北方ルネサンスの代表者デューラー。
ナルシストであったデューラーは多くの自画像を描いたが、本作は画家自身のみを描いた単独自画像として初の作品。
それまで君主や聖者、キリストにのみ許された正面からの自画像を、デューラーは自らをキリストに擬することで画家の自画像として初めて描いた。
自らをキリストになぞらえることで、創造主としての神と同じように、芸術家も創造者であるとした意思表示ともとられている。
右手も絵を想像する手として画家のプライドをあらわしている。
左上のモノグラムは「Albrecht Dürer」の「A」と「D」を組み合わせたもので、サインを名前ではなくモノグラムで描いた最初の画家でもある。

67位 アンリ・ルソー「蛇使いの女」

アンリ・ルソー『蛇使いの女

植物園で描いたジャングルの夢

絵画の題名蛇使いの女
絵画の作者アンリ・ルソー(フランス)
美術様式素朴派
絵画の制作年1907年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法169cm × 189cm 
絵画の所蔵オルセー美術館(フランス、パリ)

フランスから出たことがなかったルソーが、話に聞いたジャングルを夢に描きながら、植物園に通い詰め描いた大作。
月明かりに照らされ逆光状態の女性が笛を吹き、笛の音に魅了された蛇がジャングルから身を伸ばす。
平面的な表現に浮世絵の影響がみられる。

アンリ・ルソーの他の作品

アンリ・ルソー『風景の中の自画像』1890年、プラハ国立美術館
アンリ・ルソー『眠るジプシー女』1897年、ニューヨーク近代美術館

68位 ルーベンス「キリストの昇架」

ピーテル・パウル・ルーベンス『キリストの昇架

「フランダースの犬」のネロ少年が夢見たバロック絵画

絵画の題名キリストの昇架
絵画の作者ピーテル・パウル・ルーベンス(ドイツ)
美術様式バロック(フランドル・バロック)
絵画の制作年1610年〜1611年
絵画の画材油彩、板
絵画の寸法460cm × 340cm(両翼:460cm × 150cm) 
絵画の所蔵ノートルダム大聖堂(ベルギー、アントワープ)

バロックの巨匠ルーベンスが磔にされたキリストの十字架が立てられる場面を描く。
三連画で左右のパネルもある(上記画像は中央パネルのみ)。
アニメ「フランダースの犬」の主人公ネロ少年が憧れ、最後に見ることができた絵がこの『キリストの昇架』と『キリストの降架』。ネロ少年はこの絵の前で亡くなった。

ルーベンス『キリストの降架』
ルーベンス『聖母被昇天』1625年〜1626年 聖母大聖堂(アントウェルペン)
ネロ少年がいつも見ていた絵画
ルーベンス『三美神』
1630年代 プラド美術館

69位 クールベ「画家のアトリエ」

ギュスターヴ・クールベ『画家のアトリエ

画家と絵画についての寓意画

絵画の題名画家のアトリエ
絵画の作者ギュスターヴ・クールベ(フランス)
美術様式写実主義
絵画の制作年1885年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法361cm × 598cm 
絵画の所蔵オルセー美術館(フランス、パリ)

副題は「私の芸術的生活の7年を定義する現実的寓意」。
真ん中の画家がクールベ本人で、描いているのは故郷オルナンの風景。
描かれている人物はクールベの芸術的人生に影響を与えたものの寓意が集まっている。
画面右側にはクールベのパトロンや友人など上流階級のエリートが描かれる。
画面左側にはフランスの日常の人々で芸術には関係が無い労働者など。
そして中央のクールベが左右の異なる両者を繋ぐ者として寓意されている。

70位 ジェリコー「メデューズ号の筏」

メデューズ号の筏『メデューズ号の筏

実際に起きた凄惨な事件を描くジャーナリズム絵画

絵画の題名メデューズ号の筏
絵画の作者ジェリコー(フランス)
美術様式ロマン主義(フランス初期ロマン派)
絵画の制作年1818年〜1819年
絵画の画材油彩、カンヴァス
絵画の寸法491cm × 716cm 
絵画の所蔵ルーブル美術館(フランス、パリ)

フランス海軍のメデューズ号が難破した際、艦長ら指揮艦が真っ先に脱出、残された船員は急造した筏で13日間漂流し100名以上が死亡、生き残った15名が水平線の先に船を見つけた状況を描いた実物大の大作。

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