1400年頃〜 | ルネサンス ↓ | |
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1550年頃〜 | マニエリスム ↓ | |
1600年頃〜 | バロック ↓ | |
1700年頃〜 | ロココ ↓ |
バロック
1517年に始まった宗教改革によって、カトリック教会は権威を失い、新たにプロテスタントが生まれた。
西欧社会に大きな影響を与えたこの出来事は、西洋芸術にも大きな影響を与えた。
16世紀末頃になると、カトリック教会は権威を回復するための手段として、一般市民にもわかりやすいよう劇的な効果をもった宗教画が生まれ、布教活動に利用された。
一方、プロテスタントの影響力が強くなった地域ネーデルラント(オランダ、フランドル)では、宗教画が描かれなくなり、台頭した市民階級がパトロンとなった風景画や静物画、風俗画が生まれた。
これらをバロック絵画という。
同時期フランスでは王立絵画彫刻アカデミーが設立され、芸術は君主に仕えるものであり、厳格な絵画を是とする古典主義が発展することとなった。
カラヴァッジョ
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ 1571〜1610年 ミラノ出身 イタリア・バロック
写実的な描写と明確な明暗比というバロック絵画の先駆けとなったイタリアの画家。
一方向から射す光により対象物を浮かび上がらせる明暗対比の「キアロスクーロ」という絵画技法を確立させた。
肖像画は対象を理想化(盛る)するのが一般的であったが、カラヴァッジョは理想化することなく見たままを写実的に描いた。
天才画家でありながら粗暴な性格で、恐喝、暴行、決闘からの殺人と犯罪を繰り返し逃亡。自身の作品を手土産に恩赦を求める旅の途中、熱病により死亡した。
ベラスケス
ディエゴ・ベラスケス 1599〜1660年 セビーリャ出身 スペイン・バロック
写実的な描写を得意としたスペインの天才宮廷画家。
マニエリスムの誇張を脱し、写実的な描写を追求した。
王族の肖像画を多く描いた、スペイン絵画の巨匠。
ルーベンス
ピーテル・パウル・ルーベンス 1577〜1640年 ヴェストファーレン(ドイツ) フランドル・バロック
日本では『フランダースの犬』で主人公のネロが憧れた絵画の作者としても有名。
宗教的な歴史画を多く描いたほか、大きな工房を経営しただけではなく、人文学者、外交官としても活躍し、爵位も授与され、最も成功した画家のひとりとなった。
レンブラント
レンブラント・ファン・レイン 1606年〜1669年 ライデン出身 オランダ・バロック
暗い画面で主要部分にのみ明かりを当てて引き立たせる手法で「光の画家」「光の魔術師」と呼ばれたバロック絵画を代表する画家のひとり。
フェルメール
ヨハネス・フェルメール 1632〜1675年 デルフト出身 オランダ・バロック
現在の日本で最も人気があるとも言える謎に包まれた画家。
オランダ(ネーデルランド)のデルフトで活躍し、市民の生活を描く風俗画を描いたバロック絵画を代表する画家のひとり。その作風から「光の魔術師」とも呼ばれる。
現存する作品は36点しかない。
ラ・トゥール
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 1593年〜1652年 フランス・バロック
カラヴァッジョが確立した「キアロスクーロ」という明暗法を用いて静謐な宗教画を描き、「夜の画家」と呼ばれた。
プッサン
ニコラ・プッサン(プーサン) 1594年〜1664年 フランス古典主義
バロックの全盛期でありながバロックではなくルネサンスに学んだプッサンは、フランス古典主義を牽引する王立絵画彫刻アカデミーの設立に主導的な役割を果たす。
絵画は見る物ではなく読む物、絵画を見ることで、絵画に込められた意味や思想、背景を読むことにこそ意義があるとした。
また絵画ジャンルの格付けもし、最上位が「歴史画・宗教画・神話画」続いて「肖像画」「風俗画」となり最下位が「風景画・静物画」とした。深い教養や知識・理性に重きを置いた格付けとなっている。
カナレット
ジョヴァンニ・アントーニオ・カナール 1697年〜1768年 イタリア・バロック(あるいはイタリア・ロココ)
都市景観画を得意としたヴェネツィアの画家。
当時人気の観光地であったヴェネツィアの風景を写真のように写実的に描いた「都市景観画」は、英国王室をはじめイギリスで大流行し、現在も多くの作品がイギリスにある。
ロココ期であるため通常多くの書籍ではロココに分類されるが、ロココの本場フランスと異なり、イタリアではロココを取り入れながもバロックを色濃く残し、次代の新古典主義に繋がるものとして、次のティエポロとともにバロック内に位置させました。
ティエポロ
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ 1696年〜1770年 イタリア・バロック
イタリア・バロック最後の巨匠。
ロココ期の画家であるが、バロックを継承したヴェネツィア絵画の代表的な人物のひとり。
バロックにロココの装飾性を取り入れた。