西洋絵画の基礎知識20 20世紀絵画「抽象主義・シュルレアリスム・現代絵画」

西洋絵画の基礎知識20 20世紀絵画「抽象主義・シュルレアリスム・現代絵画」

西洋近代絵画の抽象主義・シュルレアリスム・現代絵画の基礎知識がわかりやすい。大人として知っておきたい教養、名画・西洋絵画の基礎知識。

  • モンドリアン、モディリアーニ、マグリットなど、20世紀アートがわかる
西洋絵画史 近代の年表
1800年頃〜ロマン主義
新古典主義
写実主義
ラファエル前派
象徴主義
印象主義
新印象主義
ポスト印象主義
1900年頃〜キュビスム
フォーヴィスム
抽象主義
表現主義
ダダイスム
シュルレアリスム
コンセプチュアル・アート抽象表現主義

抽象主義、抽象表現主義

1910年頃から現代に至るまで描かれている何を描いているのかわからない絵画が、キュビスムから進化した抽象主義です。
絵画の構成要素である「色と形」を自然を再現するのではなく、理論的に自由に構成させます。
絵画は自然や人や神や物を描いてきましたが、抽象主義に至ることで具体的な対象物を描かない絵画にたどり着きました。

ドイツ表現主義のカンディンスキーと、モンドリアンが抽象主義の第一人者です。

モンドリアン

ピート・モンドリアン 1872年〜1944年 オランダ 抽象主義

表現主義から進化したカンディンスキーの抽象は「熱い抽象」と呼ばれますが、モンドリアンの抽象は「冷たい抽象」と呼ばれています。
冷たい抽象は、幾何学的な形態そのものに自然界には存在しない無機質な美を見いだします。機械とその機械文明に美しさを見いだすモダニズム運動とも連動しました。
モンドリアン・アートの特徴は垂直と水平の直線と、赤・青・黄の三原色と白・黒・灰色のみで構成する「新造形主義」です。

抽象主義 モンドリアン『コンポジション』1930年 油彩 46×46cm、チューリッヒ美術館

シュルレアリスム

日本語で「超現実主義」というシュルレアリスムは、主に1924年から1930年代に流行します。
1917年にフロイトの『精神分析入門』が著され、人間の深層心理や記憶の底に眠る強迫観念の考え方が芸術にも大きな影響を与えました。
1924年にシュルレアリスムの創始者であるアンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を発表して、理性を否定するだけではなく理性に抑圧された深層心理を解放する芸術活動であるシュルレアリスムの本格的な活動が始まりました。

精神分析学を思想的背景としたシュルレアリスムは、深層心理を顕在化しするため、リアルな夢や記憶を描いたり、偶然の産物、薬などによるトランス状態、自動筆記などを利用して、現実以上にリアルな作品を仕上げました。
一例を挙げると、ブルトンの自動筆記は、眠気や過酷な条件による理性の麻痺状態時に作品を創る。エルンストのデカルコマニーは、絵具が乾く前に紙を二つ折りにして偶発的な模様を描く。同じくエルンストのフロッタージュは、木や石など凸凹した物体の上に紙やカンヴァスを乗せて鉛筆などで上からこする。などの手法があります。

シュルレアリスムで最も有名な芸術家は、スペインのサルバドール・ダリ(1904年〜1989年)でしょう。
ダリの作品→『記憶の固執』(外国のサイトです) ※ダリの作品はすべて著作権法により保護されており掲載できません。
ダリは自らの脳裏に浮かぶ強迫観念的な光景を超現実的に描きましたが、脳裏に浮かんだ時点で深層心理ではないといして、シュルレアリスムの集団からは除名されます。

もうひとりのシュルレアリスムの代表者はルネ・マグリットです。

シュルレアリスム マグリット『大家族』1963年 油彩 61.4×49.6cm、宇都宮美術館
※マグリットが戦後に描いた作品は、日本において最後に著作権保護期間が切れた有名絵画といえます。戦前・戦中に発表された作品は戦時加算により保護期間内にあるものが多いでしょう。もしマグリットが亡くなるのが後5ヶ月遅かったら、あと20年くらいは著作権保護期間が切れることはありませんでした。

ダダイスム

ダダとは無意味と言う意味をもち、ダダイスムは1916年から1925年頃に起こった芸術様式です。
第一次世界大戦による虚無や反発から伝統の破壊、意味の破壊、作品の否定といった思想をもつ。
切り貼りなどを利用するカットアップ、既製品を芸術とするレディメイド、概念を構成要素とするコンセプチュアル・アートなどが主な作風です。
既存の価値を否定し、芸術の使命は「考えるきっかけを与えること」であるとしました。

有名な作品は、絵画ではありませんがマルセル・デュシャンの『』という1917年の作品で、既存の製品である小便器を倒してサインしただけのものでした(近年ではデュシャンの作品ではないともされています)。

その他の20世紀絵画

素朴派

19世紀末頃から20世紀にかけて、独学で絵画を学び独特の作風で描くプロの画家ではない画家たちを素朴派といいます。流行や技法を気にせず、好きなものを描きました。
ゴッホも独学ですが、プロの画家として活動していたため素朴派には入りません。

アンリ・ルソー

アンリ・ルソー 1844年〜1910年 フランス 素朴派

仕事であった税関職員をする傍ら趣味で絵を描き、アーリーリタイアをして絵に没頭しました。
ルソーの作風は、後のシュルレアリスムに大きな影響を与えています。

素朴派 アンリ・ルソー『眠るジプシー女』1897年 油彩 129.5×200.7cm、ニューヨーク近代美術館

エコール・ド・パリ

「パリ派」を意味するエコール・ド・パリは、20世紀前半のパリで活動した外国人芸術家の集まりで、作風は一定しません。

モディリアーニ

アメディオ・モディリアーニ 1884年〜1920年 イタリア エコール・ド・パリ

肖像画と裸婦像ばかりを、首が長く瞳がない独特の表現で描いた。

エコール・ド・パリ モディリアーニ『ジャンヌ・エビュテルヌの肖像』1918年 油彩 101×65.7cm、ノートン・サイモン近代美術館

ポップ・アート

現代アートのひとつで、大量消費社会をテーマとして、商品や広告こそが現代風景であるとして表現した。
特に1960年代のアメリカでピークを迎え、第一人者であるウォーホールを産んだ。

アンディ・ウォーホール

アンディ・ウォーホール 1928年〜1987年 アメリカ ポップ・アート

アメリカのポップ・アートの芸術家でありプロデューサー。
マリリン・モンローのシルクスクリーンはあまりにも有名。

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