
世界の名画ランキング:西洋絵画100選+20選・91位から100位まで10選
大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。この記事では91位から100位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。
大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。
この記事では91位から100位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。
91位 パウル・クレー「セネキオ(野菊)」

漫画キャラクターのようなシンプルさで感情を表現
絵画の題名 | セネキオ(野菊) |
---|---|
絵画の作者 | パウル・クレー(スイス) |
美術様式 | 表現主義、抽象主義 |
絵画の制作年 | 1922年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 40.5cm × 38cm |
絵画の所蔵 | バーゼル市立美術館(スイス、バーゼル) |
カンディンスキーとともに芸術活動をおこなったスイスの画家パウル・クレーの代表作のひとつ。
野菊の花と人間の顔を融合させたうえで、シンプルな直線と曲線で人間の表情まで描いた。
92位 カラヴァッジオ「聖マタイの召命」

聖書の逸話を描いたバロック絵画の幕開け
絵画の題名 | 聖マタイの召命 |
---|---|
絵画の作者 | ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(イタリア) |
美術様式 | バロック |
絵画の制作年 | 1559年〜1600年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 322cm × 340cm |
絵画の所蔵 | サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会(イタリア、ローマ) |
人々から嫌われる徴税官であったマタイをキリストが弟子とした聖書の場面を描く。
一番右で指を指す人物がキリスト。一番左でうつむき金を数える人物がマタイ。
マタイが立ち上がりイエスに付いていく直前の緊迫したシーンを劇的に描いた。
カラヴァッジョの公的なデビュー作であり、最初のバロック絵画となる西洋美術史上重要な作品。
『イエスは、そこを去って道を通りながら、収税所にすわっているマタイという人をご覧になって、「わたしについて来なさい」と言われた。すると彼は立ち上がって、イエスに従った。』(マタイの福音書 9章9節、「聖書 新改訳」いのちのことば社)
バロック絵画はそもそもキリスト教を布教するため聖書の場面を劇的な効果で描いた絵画であって、バロック絵画の創始者ともいえるカラヴァッジョも聖書の場面を多く描いた。

旧約聖書『サムエル記』

旧約聖書外典『ユディト記』より

左の聖ドミニコと聖母マリアが周囲の信者とキリストの間をつなぐという、宗教改革に対抗するためのバロック絵画そのものの役割をもった絵画

キリストの第一弟子ペテロが逆さ十字架にて殉教する姿を描く。
新約聖書外典『ペトロ行伝』より
93位 プーシェ「ポンバドゥール夫人」

知性と美貌を兼ね備えた女性を優雅に描く
絵画の題名 | ポンバドゥール夫人 |
---|---|
絵画の作者 | フランソワ・プーシェ(フランス) |
美術様式 | ロココ |
絵画の制作年 | 1756年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 201cm × 157cm |
絵画の所蔵 | アルテ・ピナコテーク(ドイツ、ミュンヘン) |
ひとことで言うと「ベルサイユの薔薇」の世界観のロココ絵画の代表のような作品で、作者のプーシェはロココを代表する画家。
描かれている女性は、ロココ芸術のみならず西洋思想史上重要な「百科全書」のパトロンともなった才色兼備のポンバドゥール侯爵夫人。
羽ペンや手に持つ書物は夫人の知性をあらわしている。
ポンバドゥール侯爵夫人はルイ15世の愛妾のジャンヌ=アントワネット・ポワソンで、政治にも深く関わりフランスを動かした陰の実力者とも言われる。
ちなみにルイ15世はわずか5歳で即位したが、厳格だったルイ14世の窮屈な世の中への反発からルイ15世の即位により享楽的な時代となりロココ文化が花開いた。孫はフランス革命でギロチンにより刑死したルイ16世。
94位 フランス・ハルス「陽気な酒飲み」

笑いの画家が卓越した技法で描く人物スナップ
絵画の題名 | 陽気な酒飲み |
---|---|
絵画の作者 | フランス・ハルス(オランダ) |
美術様式 | オランダ・バロック |
絵画の制作年 | 1628年〜1630年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 81cm × 66.5cm |
絵画の所蔵 | アムステルダム国立美術館(オランダ、アムステルダム) |
レンブラントと同時代同じオランダで活躍した画家で、笑っている人物の肖像画を卓越した技法で多く描いたことから「笑いの画家」と呼ばれた。
本作も笑みを浮かべた男性の肖像画であるが、酒に酔い頬を赤く染め楽しそうな表情や今にも踊り出しそうな躍動感がスナップ写真のように写実的にあらわされている。
従来の肖像画は注文主の肖像を画家が描くものであったが、ハルスは自分が興味をもった人物を描く現在のアーティストのような主題の絵画も描いた。
95位 ジョット「荘厳の聖母」

「西洋絵画の祖」が描くルネサンスの始まり
絵画の題名 | 荘厳の聖母、(オニサンティの聖母) |
---|---|
絵画の作者 | ジョット・ディ・ボンドーネ(イタリア) |
美術様式 | 後期ゴシック |
絵画の制作年 | 1306年〜1310年 |
絵画の画材 | テンペラ、板 |
絵画の寸法 | 325cm × 204cm |
絵画の所蔵 | ウフィッツィ美術館(イタリア、フィレンツェ) |
聖人と天使に囲まれた聖母マリアと幼子キリストで、ゴシックで定番のテーマと表現。
ルネサンスの始まりの作品としても知られる祭壇画。
聖母とキリストが大きく描かれているのは序列をあらわす古い表現方法であるが、従来二次元的であった絵画に初期の遠近法を用いた奥行きと空間表現を導入した。
また、輪郭線をぼやけさせる表現や聖母のまなざしはダ・ヴィンチの『モナ・リザ』へと昇華して受け継がれていく。
96位ベックリン「死の島」

ラフマニノフに霊感を与えた当時人気の名画
絵画の題名 | 死の島 |
---|---|
絵画の作者 | アルノルト・ベックリン(スイス) |
美術様式 | 象徴主義 |
絵画の制作年 | 1880年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 110.9cm × 156.4cm |
絵画の所蔵 | バーゼル美術館(スイス、バーゼル) |
フランスで印象派が屋外で絵を描いていたころ、スイスで内面の精神世界をカンヴァスに描き出していた象徴主義の画家たちの代表者のひとりベックリンの代表作。
本作『死の島』はベックリンのお気に入りの主題で5枚描いた。
ベックリン自身は「死の島」について説明をしていないが、「死」という主題はベックリンが他の作品でも好んで描いたもののひとつ。ベックリンは14人の子どものうち8人を喪い、自身も脳卒中を患うなど「死」について深く考えることが多かったのかもしれない。
ベックリンのもう一つの代表作で現在日本ではこちらのほうが有名かもしれない『死神のいる自画像』もベックリンと死のつながりを強く表現している。
本作は白い棺を乗せた船が小島に進みゆくところを描いている。
神秘的な『死の島』は当時ヨーロッパ中で人気となり、郵便はがきや安価な複製画が多くの市民に親しまれた。
また数多くの芸術家に影響を与え、ロシアのラフマニノフも『死の島』という交響詩を作曲している(「Isle of the Dead, Op.29」)。


97位 ラトゥール「聖ヨセフ」

劇的な光の効果を用いて聖ヨセフを大工として描いた
絵画の題名 | 聖ヨセフ |
---|---|
絵画の作者 | ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(フランス) |
美術様式 | フランス・バロック |
絵画の制作年 | 1642年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 130cm × 100cm |
絵画の所蔵 | ルーヴル美術館(フランス、パリ) |
明暗法(キアロスクーロやテネブリズム)を用いて照明の劇的印象を効果的に利用した絵画を描く「夜の画家」ラ・トゥールが描くキリスト教絵画。
イエスの父ヨセフは大工であり、本作は子どものイエスと大工仕事をするヨセフを描く。
イエスの左手からすけるロウソクの光、映し出されるイエスの顔とヨセフ、とても静かで神秘的な雰囲気を出している。
光源はろうそくの1点のみ。キリストが世界を照らす光もあらわしている。
ヨセフが作る物は後にイエスが掛けられることとなる十字架を暗示している。
98位 ホルバイン(子)「大使たち」

さまざまな寓意が込められた肖像画
絵画の題名 | 大使たち、外交官たち |
---|---|
絵画の作者 | ハンス・ホルバイン(ドイツ) |
美術様式 | ドイツ・ルネサンス |
絵画の制作年 | 1533年 |
絵画の画材 | テンペラ、板 |
絵画の寸法 | 207cm × 210cm |
絵画の所蔵 | ロンドン・ナショナルギャラリー(イギリス、ロンドン) |
父も同名で画家のため「ホルバイン(子)」のように表記されることが多い、ドイツルネサンス期の画家ハンス・ホルバインの代表作。
イングランド国王ヘンリー8世の命で描かれた肖像画で、左はフランスから派遣された外交官ジャン・ド・ダントヴィル。右はその友人で司教のジョルジュ・ド・セルヴ。
イングランド国王ヘンリー8世はイングランドをローマ・カトリックの国から聖公会の国へと変え、イギリスに宗教改革をおこした。
カトリックであったハンス・ホルバインはそんなヘンリー8世への批判を本作に込めている。
・弦の切れたリュート、解体されたフルート、壊れた地球儀:宗教的不和
・ルターの賛美歌集楽譜:新旧協会の調和
ほか、中央下にある奇妙な模様は絵画を横から見るとドクロにみえ、左上に小さく描かれたキリスト磔刑図とともに「メメント・モリ(死を忘れるなかれ、盛者必衰)」を寓意している。
99位 ピカソ「自画像」
ピカソの作品はすべて著作権保護期間内にあるため、絵画画像を掲載することができません。
許諾されたAmzonへのリンクとして書籍の表紙画像のみ掲載します。
所蔵されているピカソ美術館のサイトで作品画像をお楽しみください。
https://www.museepicassoparis.fr/fr/autoportrait
ピカソ若き苦悩の時代の自画像
絵画の題名 | 自画像 |
---|---|
絵画の作者 | パブロ・ピカソ(スペイン) |
美術様式 | 青の時代 |
絵画の制作年 | 1901年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 81cm × 61cm |
絵画の所蔵 | ピカソ美術館(フランス、パリ) |
ピカソの親友がピストル自殺をしてしまったのを期に始まったとされる、ピカソ青年期にうつ病を患っていた時に描かれた作品群を「青の時代」という。
本作『自画像』は青の時代の代表作のひとつ。
100位 洞窟壁画
人類最古級の絵画
人類は少なくてもおよそ4万年前〜絵画を描いてきた。
現在洞窟の壁や天井に描かれた絵画が遺されており、総称して洞窟壁画と呼ばれている。
近年では現生人類(ホモ・サピエンス)やクロマニョン人だけではなく、ネアンデルタール人が作成した壁画も遺されている可能性も指摘されている(スペインのエル・カスティーヨ洞窟など)。
フランスの「ラスコー洞窟」

1940年に発見される。
およそ20,000年前、後期旧石器時代にクロマニョン人によって描かれた。
描かれているのは、馬、山羊、羊、野牛、島、かもしか、人間など。
スペインの「アルタミラ洞窟」

1879年に発見される。
およそ18,500年から14,000年前、旧石器時代末期に描かれた。
野牛、イノシシ、馬、トナカイなどが描かれている。
フランスの「ショーベ洞窟」

1994年に発見される。
およそ32,000年前の旧石器時代に描かれた。
すでに絶滅している野牛をはじめ、馬、サイ、ライオン、鹿、フクロウ、ハイエナ、ヒョウなどが描かれている。
ネアンデルタール人によって描かれたと考えている学者もいる。
ほか、スペインの「エル・カスティーヨ洞窟」や42,000年前ともいわれネアンデルタール人が描いたともいわれている。フランスの「コスケール洞窟」は現在は入口が海底にある洞窟で、少なくても23,000年前、そしてインドネシア・スラウェシ島の「リアン・テドング洞窟」では、現在最古とみられる45,500年前に描かれた等身大のイノシシの絵がみつかっている。
スラウェシ島洞窟壁画は44,000年前だと思われていたが、2021年1月にさらに古い壁画がみつかった。