
世界の名画ランキング:西洋絵画100選+20選・71位から80位まで10選
大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。この記事では71位から80位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。
大人の教養として知っておきたい世界の名画120選をランキング形式でご紹介。
この記事では71位から80位までを絵画画像と説明つきでご紹介します。
71位 モネ「積みわら」

積みわらに主題を借りて光そのものを描く連作
絵画の題名 | 積みわら – 雪の効果、午前中 |
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絵画の作者 | クロード・モネ(フランス) |
美術様式 | 印象派 |
絵画の制作年 | 1891年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 64.8cm × 99.7cm |
絵画の所蔵 | J・ポール・ゲティ美術館(アメリカ、ロサンゼルス) |
『睡蓮』や『ルーアン大聖堂』など、同じテーマを異なる時間・季節・天候などで何枚も描いた印象派の巨匠モネ。
本作もそんな連作のひとつで、モネのジヴェルニーの自宅のすぐ近く、収穫後の畑に積み上げられた干し草を描いた。


72位 カスパー・ダーヴィド・フリードリヒ「氷の海」

画家の幼き日のトラウマと人生の儚さを描くドイツロマン派の作品
絵画の題名 | 氷の海 |
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絵画の作者 | カスパー・ダーヴィド・フリードリヒ(ドイツ) |
美術様式 | ドイツ・ロマン主義 |
絵画の制作年 | 1823年〜1824年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 96.7cm × 126.9cm |
絵画の所蔵 | ハンブルク美術館(ドイツ、ハンブルク) |
ドイツ・ロマン派の旗手カスパー・ダーヴィド・フリードリヒの代表作。
厚い氷が折り重なり天を目指す三角形の構図。
傍らには氷と対比して小さく描かれた難破船がみえる。
「氷の海」という題材はカスパー最大のトラウマである13歳の時のできごとにちなんでいる。
少年カスパーは氷の海で溺れ、彼を助けるために弟ヨハンが溺死している。
氷の海という大自然と、その前になすすべもない難破船。
しかし空には柔らかな光が描かれ、この絵からは絶望ではなく希望を読み取ることもできる。
73位 エゴン・シーレ「家族」

亡くなる直前に描かれた幻想の家族
絵画の題名 | 家族 |
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絵画の作者 | エゴン・シーレ(オーストリア) |
美術様式 | ウィーン分離派、表現主義 |
絵画の制作年 | 1918年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 152cm × 162cm |
絵画の所蔵 | オーストリア・ギャラリー(オーストリア、ウィーン) |
グスタフ・クリムトの弟子として、ウィーン分離派でありながら象徴主義や表現主義などに学び独自の画風を若くして確立したエゴン・シーレ。
28歳の若さでこの世を去った天才が遺した『家族』の肖像画本作。
描かれている女性は妻エーディトでスペイン風邪により亡くなった。
エゴン・シーレ自身もその3日後に同じくスペイン風邪で亡くなる。
描かれている赤子は、そのとき母の胎内におり生まれてくることがなかった。
第一次世界大戦の従軍の後、意欲的に作品を多く描き成功した画家となった直後のできごとであった。
本作は生まれ来る前の退治を生まれ来た我が子として描いた家族の肖像画で、エゴン・シーレが最後に描いた作品とみられている。
74位 ギュスターヴ・モロー「出現」

聖書の逸話を象徴的に表現した世紀末の巨匠
絵画の題名 | 出現 |
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絵画の作者 | ギュスターヴ・モロー(フランス) |
美術様式 | 象徴主義 |
絵画の制作年 | 1876年 |
絵画の画材 | 水彩 |
絵画の寸法 | 106cm × 72.2cm |
絵画の所蔵 | オルセー美術館(フランス、パリ) |
宙に浮くのは洗礼者ヨハネの首。
首からは血が滴り、床に血だまりを作る。
ヘロデ王の娘サロメが、ヘロデ王に舞踏を捧げたお礼として洗礼者ヨハネの首を所望し、盆にヨハネの首を載せている有名なシーン。
象徴主義を代表する巨匠ギュスターヴ・モローは、従来別々に描かれていた「踊るサロメ」と「ヨハネの首が乗った盆を持つサロメ」をひとつの絵画に融合し、ヨハネの首が空中に出現するという幻想的な演出で描いた。


75位 セザンヌ「大水浴」

近代絵画の父が描いた画家人生の集大成
絵画の題名 | 大水浴(大水浴図) |
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絵画の作者 | ポール・セザンヌ(フランス) |
美術様式 | ポスト印象主義 |
絵画の制作年 | 1898年〜1905年頃 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 208cm × 249cm |
絵画の所蔵 | フィラデルフィア美術館(アメリカ、ペンシルベニア) |
近代絵画の父ポール・セザンヌが描き続けたきた主題「水浴」。
晩年のセザンヌは画家人生の主体性としてこの大作「大水浴」を7年かけて描き、未完のままに亡くなった。
「大水浴」はセザンヌ最高傑作ともみられている。


76位 ブリューゲル(父)「農民の婚宴」

「農民画家」が描いた農民の婚礼の風俗画
絵画の題名 | 農民の婚宴 |
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絵画の作者 | ピーテル・ブリューゲル(オランダ) |
美術様式 | 後期フランドル絵画(北方ルネサンス) |
絵画の制作年 | 1568年 |
絵画の画材 | 油彩、板 |
絵画の寸法 | 114cm × 164cm |
絵画の所蔵 | ウィーン美術史美術館(オーストリア、ウィーン) |
『バベルの塔』で有名なブリューゲルは本来「農民画家」と呼ばれるほど農民の姿を描き、「風俗画家」の先駆けともみられている。
北方ルネサンスの時代には神話や聖書を題材とした絵画が普通で、農民などの庶民の生活を描いた「風俗画」はまだこれからという時代。
ブリューゲルは時代を先駆け「風俗画」を描き、本作『農民の婚宴』はブリューゲル晩年の代表作。
真ん中の紺色の膜の前に座る花冠をつけた女性が花嫁とみられ、宴で盛り上がる人々や楽隊などが描かれている。
77位 ミケランジェロ「聖家族と幼い洗礼者ヨハネ」

あえてダヴィンチと異なる陰影を付けた聖家族
絵画の題名 | 聖家族と幼い洗礼者ヨハネ、聖家族 |
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絵画の作者 | ブオナローティ・ミケランジェロ(イタリア) |
美術様式 | 盛期ルネサンス |
絵画の制作年 | 1507年頃 |
絵画の画材 | 油彩、テンペラ、板 |
絵画の寸法 | 120cm × 120cm |
絵画の所蔵 | ウフィッツィ美術館(イタリア、フィレンツェ) |
ルネサンスの巨匠ミケランジェロが描いたトンド(円形の絵画)の聖家族。
現存するミケランジェロのパネル絵3枚のなかで唯一の完成した作品。
同じくルネサンスの巨匠ダ・ヴィンチは輪郭線を描かない手法を得意としたが、本作でミケランジェロは濃い輪郭線を描き、明暗を描き出し陰影を際立たせている。
遠景の男性たを柔らかく描くことで、はっきり陰影を出して描かれた前景の聖家族がさらに際だっている。
中心に描かれるのは聖母マリアで、幼子キリストを抱き上げている。
上の男性は聖ヨセフ。
マリア、ヨセフ、キリストを描いた聖家族の絵画で、本作では右にキリストの先導者でもある洗礼者ヨハネ少年が描かれている。
78位 ルノワール「ブージュヴァルのダンス」

楽しく軽やかなひとときを描くスナップ絵画
絵画の題名 | ブージュヴァルのダンス |
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絵画の作者 | ピエール=オーギュスト・ルノワール(フランス) |
美術様式 | 印象派 |
絵画の制作年 | 1883年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 181.9cm × 98.1cm |
絵画の所蔵 | ボストン(アメリカ、ボストン) |
パリ郊外の行楽地ブージュヴァルで楽しむルノワールの友達たちを描いたスナップ写真のような絵画。
「見る人が幸せになる絵画」を目指したルノワールの楽しく軽やかな名画。
本作を含む3枚の「ダンス」は、ルノワールが印象派としてスランプに陥り、新古典主義的な作風へと転換する初期の作品。


79位 マネ「フォリー・ベルジェールのバー」

印象派の父の遺作であり鏡を使った不思議な絵
絵画の題名 | フォリー・ベルジェールのバー |
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絵画の作者 | エドゥアール・マネ(フランス) |
美術様式 | 印象派 |
絵画の制作年 | 1882年 |
絵画の画材 | 油彩、カンヴァス |
絵画の寸法 | 92cm × 130cm |
絵画の所蔵 | コートルード・ギャラリー(イギリス、ロンドン) |
印象派の父と呼ばれながらも自らは印象派として活動しなかった巨匠エドゥアール・マネが描いた代表作。
「フォリー・ベルジェール」はパリにあった音楽堂で、その中のバーカウンターの女性を描く。
パリの人々を描いたきたマネが、病のなか自分の死を悟り書き上げた遺作で、マネがこだわり続けたサロンでも大絶賛を浴びた。
女性の後ろは大きな鏡で、カウンターと女性以外は鏡に映ったものを描く複雑な構図。
右側の後ろ姿の女性は正面の女性が鏡に映ったもの。
80位 アルトドルファー「アレクサンダー大王の戦い」

古代の大戦を描く壮大な歴史画
絵画の題名 | アレクサンダー大王の戦い、イッソスの戦い |
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絵画の作者 | アルブレヒト・アルトドルファー(ドイツ) |
美術様式 | ドナウ派(北方ルネサンス) |
絵画の制作年 | 1529年 |
絵画の画材 | 油彩、板 |
絵画の寸法 | 158.4cm × 120.3cm |
絵画の所蔵 | アルテ・ピナコテーク(ドイツ、ミュンヘン) |
西洋絵画史上最初期の風景画家であるドイツのアルトドルファーが描いた壮大な歴史画。
アルトドルファーは背景としてではなく風景のみを描いた風景画の最初期の画家で、アルブレヒト・デューラーとともに仕事をしたこともある。
本作はバイエルン公ヴィルヘルム4世のために描かれた歴史画で、アレクサンダー大王(アレクサンドロス3世)がダレイオス3世のペルシャ軍と戦い勝利したイッソスの戦いを描いた。
雄大な風景と膨大な兵士が緻密に描かれており、中央左下の3頭引きの戦車に乗るのが逃亡するダレイオス3世。そのすぐ後ろで馬を駆るのがアレクサンドロス3世。