乾漆千手観音坐像(本堂安置)(かんしつせんじゅかんのんざぞう)
分類 | 国宝 |
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ジャンル | 美術品・彫刻 |
時代 | 奈良 |
構造・形式等 | 脱活乾漆造 |
国宝指定年月日 | 1952年11月22日 |
所有者 | 葛井寺 |
安置場所 | 葛井寺本堂 |
所在・エリア | 大阪 |
実際に1000本の腕がある3体のうちの1体で、日本最古の千手観音像のひとつ。
麻布と漆を塗り重ねる脱活乾漆造の貴重な作例で、坐像として1000本手がある千手観音像はこれしかない。
安置されている葛井寺は、藤井寺という漢字を使われる場合もあるほか、古い資料では剛琳寺とされていることがある。
大和地方以外では非常に珍しい脱活乾漆像で、背後にあるのは光背ではなく千本の手。
手にはそれぞれ眼が描かれており、文献にある千手千眼観音菩薩像をそのままにあらわした珍しい像容。
台座も造立当時のもので、全体の保存状態が非常によい。
千手をもつ偉容でありながらバランスがとれた美しい仏像。
月に一度、毎月18日しか開扉されない秘仏。
どこにでもあるような街の中の小さなお寺で、建物も近世のもの。
知らなければ葛井寺が特別なお寺であるとはわからないが、奈良時代から続く由緒あるお寺で、小さな本堂内の厨子には今も国宝千手観音菩薩坐像が安置されている。
個人的には非常に好きな仏像。
2度ほど訪れたことがあるが、開扉日には近隣の方々がお参りにくる。
拝観しにいった私の横で、妊娠をしている娘とその母らしき方々が一心に本像に祈りを捧げていた。
美術品や文化財としての仏像ではなく、信仰の対象としての仏像が今も色濃く残り、本来のあり方を見せつけられた気がする。
信仰心もなく見にきた自分が少し恥ずかしくなるとともに、1300年の永きにわたって人々の真摯な思いを受け続けてきた仏像の存在を感じ心が震えた。
葛井寺千手観音の写真
※ Japanese Temples and their Treasures, Vol.2, 1910 (Shimbi Shoin)(保護期間満了)