フラ・アンジェリコ『受胎告知』

フラ・アンジェリコ『受胎告知』

フラ・アンジェリコ『受胎告知』を詳しく解説。

フラ・アンジェリコ(1400~1455年)
1445年頃 あるいは1450/52年 フレスコ 壁画 230×321cm フィレンチェ サン・マルコ修道院

大天使ガブリエルが処女マリアに、神の子を身ごもったことを伝える場面「受胎告知」または「聖告」を描いた絵画。
聖書では「ルカ福音書」1章26節に書かれている。
不安におののきながらも、神の意志を静かに受け入れるマリアの姿が簡素で清涼な色彩で描かれる。
当時考案されたばかりの遠近法によって写実的に描かれた回廊が、奇跡の場面に現実感を与えている。

『受胎告知』の作者フラ・アンジェリコは絵画やフレスコ画のテーマとして、「受胎告知」を複数回描いている。
本作はサン・マルコ修道院の僧坊の階段を上がった壁面に安置されている。
フラ・アンジェリコが描いた『受胎告知』のうち、もっと初期の1点がプラド美術館に所蔵されている。

フラ・アンジェリコの本名はフラ・ジョヴァンニ。「アンジェリコ」は「天使の」という意味があり、彼の死後に贈られた名前であると思われている。
フラ・アンジェリコは画家である以前に敬虔な修道士でもあり、1982年に列福されている。
※列福:徳と聖性が認められること。列聖(聖人となる)に次ぐ地位となる。

1430〜32年頃 テンペラ 板 194×194cm プラド美術館

こちらの作品では、左側には最初の人アダムとイヴがエデンの園から追放され人類が原罪を背負った逸話「失楽園」が描かれ、マリアの純潔と原罪を回復するために生まれるキリストを対比させている。

受胎告知の主要な要素として、聖母マリア、天使ガブリエル、聖霊の鳩である。
先の作品には鳩が描かれていないが、こちらには描かれている。ほかにも、初期の作品は宗教画としての要素が多くちりばめられているが、後期の作品はよりシンプルにすることで現実感を与えている。

上部に描かれる彫刻は、父なる神
ツバメはキリストの蘇生を象徴する
聖霊である鳩は聖母マリアに降下し、受胎の瞬間をあらわしている

ガブリエル gabriel

大天使ガブリエル
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を通じて、伝令役・メッセンジャーとしての役目を与えられた天使
キリストの誕生の先触れのほか、洗礼者ヨハネの誕生も予言している
持物として百合の花がある
作品によっては「Ave Mariya(アヴェ・マリア)」「マリアよおめでとう!」と作中に書かれることもある。

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