分類 | 国宝 |
---|---|
ジャンル | 建造物 |
時代 | 奈良時代末〜平安時代初め 710年〜1184年 |
構造・形式等 | 三間四方 五重塔婆 檜皮葺 |
国宝指定年月日 | 1951年06月09日 |
所有者 | 室生寺 |
日本一というのは、私の主観です。
多くの伝統的建造物を観てきましたが、この室生寺五重塔が一番美しい。
奈良市街から40kmくらい。
室生山中にある女人高野・室生寺にあります。
屋外にある五重塔としては、日本で一番小さい(屋内も含めれば海龍王寺五重小塔が最小)。
写真を見て分かるように、伽藍配置がいわゆる山寺で、階段を登っていくとその先に現れます。
法隆寺五重塔につぎ、2番目に古い五重塔です。
創建は800年頃。
以来1,200年、守られてきました。
平成10年9月の台風で大きく破損しましたが、2年の歳月をかけて修復されました。
引用:奈良新聞
美しい檜皮葺(ひわだぶき)は、すべて室生山中の檜にてまかなうことが出来たそうです。
垂木(たるき)をみると、四角い垂木と丸い垂木が使われています。
一見、丸いほうが楽そうにみえるのですが、平安時代の建築物に丸い垂木が使われているときは、相当手間が掛かっていると思って間違いないです。
伝統建築には、丸い木をそのまま使うことはありません。
木の心の部分を避けるため、木を四つに割ります。
つまり丸い垂木は、四つに割って角材にした木材を槍鉋(やりがんな)などで削って丸くしています。
実に美しい。。
通常、五重塔のてっぺんには水煙(火炎の形をしたかざり)がありますが、室生寺五重塔は宝蓋(ほうがい)がつきます。
逓減率(ていげんりつ)が小さいのは、この小さい五重塔のサイズと、山中にあるため下から見上げられるということを計算したものではないかと思います。
逓減率が大きすぎると、遙か下から見上げたときに遠近法によりかなり尖ってみえてしまいます。
※逓減率:五重塔は初層から五層に向かって小さくなります。真横から見ると三角錐のように上が小さくなります。京都東寺五重塔などは逓減率が小さく、法隆寺五重塔など初期の五重塔は逓減率が大きいです。
軒の反り、垂木、檜皮葺、色、山中に経っているシチュエーション、すべてが絶妙なバランスで成り立った、美の境地にある建築物です。